債務整理

個人再生手続をする際のスマートホン(スマホ)対策

個人再生手続をする際のスマートホン(スマホ)対策

スマホは、現代社会の日常生活の必需品となりました。しかし、毎月高額な通信料を支払う必要があり、また、本体の代金が高額であるため、たいていの場合は分割払いで購入することになります。

では、借金解決方法の一つである個人再生をする場合、スマホの取り扱いはどうなるのでしょうか。

ここでは、個人再生手続のルールの影響を受け、手続後にスマホが利用できなくなる恐れとそれへの対策を説明します。

1.個人再生手続をする上でのスマホの問題点

スマートホン(スマホ)に関して、個人再生手続をするうえでの問題点としては、

  • 通信料の支払滞納
  • 分割払いで支払い切れていないスマホ本体の代金

があります。

このいずれかの問題があれば、個人再生手続をすることで、スマホを利用できなくなる恐れがあるのです。

逆に言えば、通信料を滞納せずに支払い、本体代金を全額支払い済みの場合には、スマホの利用に対して、個人再生手続の影響が及ぶことはありません。

通信料を支払い続けることで、これまで通り使用し続けることが出来ます。

2.個人再生とスマホの関係

個人再生手続では、一部とはいえ借金を払わなければいけませんが、その返済額にスマホが大きな影響を及ぼすことはありません

再生計画上の返済総額は、一般的に用いられる手続においては、借金の額に応じ、法律が定めている最低弁済額か、仮に債務者が自己破産手続をした場合の配当見込額である清算価値のいずれか大きいほうが採用されます。

スマホの時価は、裁判所の運用によっては清算価値に含まれることになりますが、高級中古スマホ相当額である10万円前後につき、3年にわたって月払い、すなわち、36分割で支払えば、月3000円しか返済負担は上昇しません。

そのため、ほとんどの場合は、スマホの時価が清算価値に含まれることによる返済額の増加は問題とならないでしょう。

3.スマホの通信料について

スマホの通信料を払わなければ、携帯会社はスマホの利用契約を解約してしまいますから、スマホを利用できなくなってしまいます。

そのため、借金の返済に困窮し、スマホの通信料の支払も滞納している場合には、一刻も早く滞納を解消することが必要です。

しかし、個人再生手続前の通信料の滞納解消は、個人再生手続上の重要なルールに違反してしまう恐れがあるのです、

(1)債権者平等の原則

債権者平等の原則とは、債権者を債権額に応じて公平に取り扱わなければならないという個人再生手続上の重要なルールです。

債権者平等の原則があるため、特定の債権者を手続から除外することはできません。

(2)偏頗弁済

債権者平等の原則があるために生じる問題の中でも、特に重要なものが、偏頗弁済です。偏頗弁済とは、全ての借金を返済できないと自覚したうえで、特定の債権者にだけ優先的に返済をすることを言います。

偏頗弁済をすると、債権者平等に反して不当に財産を流出させたものとして、偏頗弁済をした金額が清算価値に上乗せされ、返済額が増加する恐れがありますし、手続の利用自体が認められなくなるリスクすらあります。

(3)スマホの通信料と偏頗弁済

手続開始前の、滞納していない通常の通信料の支払については、ゲームなどへの課金が含まれていない限り、債務者の生活のために必要な支払であるとして、偏頗弁済にはされません。

そして、手続開始後に支払うべき通信料は、個人再生手続の対象となりません。

それに対して、滞納している分の通信料は、個人再生手続の対象となるだけでなく、その返済は偏頗弁済となってしまいます。

一方、滞納を解消しなければ、通信料の債権者である携帯会社は、契約を解約してしまいます。

このように通信料の滞納がある場合には、偏頗弁済とスマホ解約の板挟みに置かれてしまうのです。

4.スマホ本体代金の分割払いについて

本体代金の分割払ができなくなった場合も、利用契約を解約されてしまいます。

自動車などと違って、担保とされていないので、スマホ本体を手放すことにはなりません。

しかし、本体代金を支払いきれていない場合、たとえそれまで滞納をしたことがなくとも、スマホ本体の代金支払い義務も、債権者平等の原則に基づいて、個人再生手続の対象となりますから、解約されてしまうことになります。

そして、通信料の支払と同じように、スマホ本体の残額を優先して返済してしまえば、偏頗弁済となってしまいます。

5.個人再生手続をしてもスマホを維持する方法

(1)裁判所に対して偏頗弁済とみなさないよう説得する

スマホは、現代社会においては一般的な家財道具同様、場合によってはそれ以上の必需品であり、かつ、その維持には通信料や本体の分割払いが不可欠な財産です。

債務者の経済的更生を図る個人再生手続の目的からすれば、形式的判断により、債務者がスマホを利用できなくすることは不適当と言えます。

そこで滞納している通信料や本体の代金残額が少ない場合には、債権者への影響は少ないとして、裁判所がそれらの支払を偏頗弁済とはしないでくれることがあります。

ただし、あくまでも債権者平等の原則に反する支払であることに変わりはありませんから、裁判所の運用や、また、金額・通信料の内容によっては認められない可能性も十分あります。

しかし、一般の方が裁判所をうまく説得することは困難です。弁護士に事情をよく説明し、裁判所への説得を代行してもらいましょう。

(2)親などの第三者に支払を肩代わりしてもらう

偏頗弁済が禁じられている理由は、特定の債権者だけが借金を回収してしまうことだけではありません。

偏頗弁済により、債務者の財産が少なくなってしまい、他の債権者の取り分が減ってしまうということも合わせて、偏頗弁済が禁止されている理由となっています。

ですから、たとえ、特定の債権者にだけ返済がされたとしても、その返済をした人が、債務者ではない第三者であれば、債務者からの財産の流出はありませんから、偏頗弁済にはなりません。

そこでなどに頼んで、滞納した通信料やスマホ本体代金の支払を肩代わしてもらうことで、偏頗弁済を回避しつつ、スマホの契約を維持することができます。

このような第三者による弁済は、第三者弁済と呼ばれています。

高額な課金代が通信料に含まれているなど特殊な事情がない限り、通信料や本体代金は、さほど極端な金額にはならないでしょうから、難しいことではないでしょう。実務上も、特に用いられている手段です。

ただし、第三者弁済をしてくれる家族と、家計が同一となっている場合には、慎重な行動が不可欠です。

なぜなら、支払名義は債務者ではなくその家族となっていても、実質的には債務者の財産から支払がなされたとして、偏頗弁済と見なされかねないためです。

6.スマホを解約されてしまったら

上記で紹介した対策をとることができず、スマホを解約されてしまった場合であっても、一切スマホが利用できなくなってしまう訳ではありません。

確かに、解約をした携帯会社に対しては、再契約をすることは非常に困難でしょう。しかし、他の携帯会社については、本体代金の滞納や債務整理によるブラックリストへの登録が削除されて以降に、契約をすることができる可能性があります。

もっとも、ブラックリストの登録から削除までは、5~10年はかかってしまいます。

通信料を滞納しているだけの場合には、手続後すぐに他の携帯会社と再契約できますが、スマホの分割払いは長期にわたることが多く、また、通信料を滞納している場合には、本体代金の支払も滞っていることがほとんどでしょう。

スマホの解約後すぐに新たなスマホを使用したいという場合には、以下の二つの手段が考えられます。

(1)SIMカードの交換(SIMフリーのスマホの場合)

SIMフリーのスマホであれば、SIMカードを他社のものに交換することで、手続前から持っていたスマホをそのまま利用し続けることができます。

もっとも、もともと持っていたスマホがSIMフリーのものでなければ、この方法をとることは困難です。

そして、2018年現在、SIMフリーのスマホは、いまだ普及しているとは言えない状況です。

(2)プリペイドスマホの購入

プリペイドスマホとは、通信料を先払いして利用できるスマホのことです。

携帯会社からすれば、通信料の先払いがなければ、通信サービスを提供しなければよいだけですので、契約相手の利用者の資力を気にする必要性は低くなります。そのため、個人再生手続の後でも、問題なく利用できるものもあるのです。

詳しくは、弁護士に事前に相談をしたうえで、家電量販店などで確認してください。

7.個人再生後もスマホを使い続ける場合は弁護士に相談を

個人再生手続は、自己破産のデメリットを回避しつつ、大幅な借金減額を可能とする非常に便利な債務整理手続です

しかし、裁判所を用いる手続である以上、債権者平等の原則など、様々な規制や、それに伴う偏頗弁済などの問題が生じてしまいがちでもあります。

情報社会となった現代の生活必需品であるスマホに関しても、ここで説明した通り、滞納した通信料や支払いきれていない分割払いの本体代金に関して、解約や偏頗弁済のリスクの板挟みという深刻な問題が生じる恐れがあります。

対策である裁判所への説得はもちろん、第三者弁済についても、専門家の適切な助言がなければ、かえって手続に悪影響が生じかねません。

泉総合法律事務所では、これまで多数の借金問題を個人再生で解決してきた豊富な実績があります。どうぞ、お気軽にお問い合わせ下さい。

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